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2015年09月05日

施設内通貨を利用したコミュニティの形成

「稼ぐ・貯める・使う」を通して生きが
い作り

介護老人保健 設 虹の丘 森 悦朗

人は年を重ねることで仕事を失い、自分で稼ぐ、貯める、使う機会を失ってる。 設内通貨を通して、紙幣を流通 させることで、コミュニティが形成され、様々な仕事や役割が生まれ、高齢者の生きがい作りに繋がった。
「はじめに」
奄美大島は鹿児島県本土の南西約380~450kmに位置し日本の離島の中では佐渡島についで2番目に大きな島である。 原生的な亜熱帯性多雨林にアマミノクロウサギなどの貴重な野生生物が生息しており、平成25年には「奄美・琉球」 として国の世界自然遺産暫定リストに掲載された。奄美市の人口は4万4千人で高齢化率は27.2%である。
虹の丘通所リハビリテーションは定員40名で登録者数は100名前後。要支援と要介護者の登録比率は4:6要介護度の 平均は2.5である。平成25年の10月から 設内通貨「マルキ」を利用し高齢者の仕事、役割の再獲得を目的としてコミ ュニティの形成を図った。
現在、多くの施設で独自通貨の取り組みが行われており、良い効果が現れた施設もあるが、そうでない施設も多くある。
当施設では、様々な失敗事例を踏まえることで効果的な導入を目指した。
「導入方法」
人は年を重ねることで仕事を失い、自分で稼ぐ、貯める、使う機会を失っている。私は 設内通貨を通して、コミ ュニティが形成され、様々な仕事や役割が生まれ、高齢者の生きがい作りに繋がると考えた。
1.通貨の作成
紙幣の作成にあたっては、利用者に親しみを感じてもらうことが大事と考え、紙質、柄、通貨単位にこだわった。 紙は和紙を使用し手触りを良くし、柄はアマミノクロウサギなど奄美大島に生息する動植物を使用した。通貨単位「 マルキ」は大島紬で使われている単位であることから親しみやすいものである。
2.稼ぐ方法
具体的には、利用者一人ひとりが1日の目標を決め、達成することで報酬を得る。それ以外にも洗濯、食器洗い、台拭きや掃除等の活動、手工芸や趣味活動での作品展示および販売、畑でできた野菜の収穫および販売でも報酬が得られるようにした。
3.使う機会
使う機会としては、いつでも駄菓子や飲み物の 入を出来るようにしたり、 食事メニューの変更も受け付けたりした。それ以外にも、 別マッサー や銀行・スーパー等への外出サービスにも対応した。
4.その他研修やシステム
職員には 設内通貨の運用に当たり、導入の意義、使用方法について研修を行い、ルール作りを行った。 その他、通貨全体の管理に関して、利用者一人ひとりの預金額をデータベース化することで、 残高確認を容易にし た。
5.通貨の価値
通貨の価値を保つために、平均貯蓄の管理とインフレへの注意を促し、定期的なイベントの開催や通貨が流通する システム作りを目指した。
「結果」
導入当初は利用者にも職員にも混乱や戸惑いが見られた。そこで、利用者にも見やすい スターやチラシを作成し、 利用者からの質問にもゆっくりと説明していった。 まずは、開始から1 月間を導入期と捉え、稼ぐことを多く体験して頂いた。些細な活動でも、役割や手伝い活動として報酬を発生させた。自分自身で血圧測定や体温計測を行い、報告することで報酬が得られるという体験を多くの 方に持って頂いた。 次に、1ヶ月を越え3ヶ月までを流通期とし、通貨の使用機会の増加を図った。駄菓子や飲み物の販売促進を行い、 外出サービスを積極的に行った。ゲーム大会やイベントも積極的に行い、通貨の流通を促した。 結果、3ヶ月程度で7割近い利用者から取り組みへの支持を得られた。 認知症により金銭管理の出来ない利用者でも、自分のためた紙幣を数えるなどの行動が現れ、紙幣としての認識を持たれている様子も伺えた。 利用者の方から、通貨の管理と次の日の準備を利用者自身が行うという新しい仕事も生まれた。 自宅で作成した手工芸作品を施設内で販売する方も出てきた。利用中の趣味活動が目的を った活動に変わってい った。
島内でも多くの反響を頂き、ローカルラ オや新聞等の取材を受けたことで、利用
者も更に 極的に活動に参加す るようになった。
「結論」
施設内通貨に関しては全国的にも多くの施設が取り組んでおり、利用方法も様々である。 職員が本気で取り組むこと、本気で取り組めるシステムを作ることで、本物の通貨として扱うことができた。 通貨を単なるポイントのように扱ってしまうと、利用者にとってその通貨はおもちゃになってしまう。床に落ちた 一枚の紙幣を利用者が拾ったときに、それをどうするのかでその通貨の価値がわかるのではないか。自分の財産を大事にすること。自分で稼 ぎ、自分で使うことを、再び経験することで大きな生きがいを感じる高齢者の姿を見ることができている。 通貨が流通することで実経済と同じように自然に仕事やサービスが生まれ、通所リハビリテーション内には小さな コミュニティが形成された。今後は更に利用者が能動的に参加できる仕掛け作り
を目指し、施設内通貨を地域に拡げていく計画である。


  


Posted by 虹の丘(旧) at 10:08Comments(0)通所リハ施設内通貨『マルキ』